「女なんだから乱暴な言葉遣いはやめなさい」

「女なんだから女らしい態度でいなさい」

「女なんだからだらしない恰好はやめなさい」

「男なんだから泣くな」

「男なんだからなよなよするな」



現代は男と女の境目のないジェンダーレスの時代で

古い人間の「男は男らしく、女は女らしく」という

押し付けられた考え方は性的差別になりかねない。

斯く言う自分も死んだ父にはうるさく「女らしく」を言われたが、

親のいない所じゃ「~じゃねーの?」とか「~だぜ」とか大声出して男言葉だし

あぐらはかくし、大あくびもするし清楚で大人しく、はにかんだり

口に手を当て笑ったりする所作は、やれって言われても出来ない。


そう、お気付きだろうか・・・上記の女らしくは、男性の描く女性だ。

いつも主人公の応援をして健気で控えめで髪は長い(もしくは纏めていて

ポニーテール)おっぱいとお尻は大きい。腕は後ろに組み、内股。

首は左右どちらかにかしげていてあざとい。

では、女性が描く男性はどうだろうか?

普段は女の子に冷たいが、時には優しいツンデレは基本。

そしてソフトヤンキー。身長は当然すらっとして高く足も長い。

手は大きく、突然キスしたりハグしたり

胸がざわざわするような甘い言葉を言う。

はい、どうですか。思い当たる漫画がいくつかありましたか?


以前、確かスピリッツの編集者だったと思うが、

「男の作家は女を描けるが、女の作家は男が描けない」と言う話をした。

出版社はまだバブルがはじける前の景気のいい時代、

ジャンプとスピリッツは週刊誌のベストセラーと言われていて何百万部と

売り上げていた黄金時代の話。

所作や性質的な事を指して言ったのかはわからないが、

まあ、デフォルメ大事と言いたかったのだろう。

自分は少女誌が性に合わず青年誌に切り替えて投稿していた時分だった。

もちろん男を主人公に描くことが多くこの言葉に

「何クソッ!絶対男描いてやる!」と思っていた。

それからバブルが弾け景気が低迷し数々の週刊誌は休刊した頃。

何の状況かは忘れたが編集者が多く集まる中で編集者が言った言葉

「女の作家は男を描けるが、男の作家は女を描けない」だった。

何を根拠にそういったかはわからない。いろいろ考え方はあって答えは

一つじゃない。



漫画の中で具体的に男と女の違いでわかりやすいのは、異性が絡んだ時だろう。

年齢の関係もあるが、男なら好きな女の子にキスしてーとか

エッチしてーとかなるが、女は男の子に恋している自分が好きってなると思うし

女の子に振られていつまでもうじうじしているのは男の方だし

女は振られたらあまり引きずらず次、次!だしとってもわかりやすい。

仕事の上ではあまり男女の差はないような気がする。

ヒステリックな上司と言うと女が浮かぶが、まあ男でもそういう人いるしなぁ。

ただ男性主体の職場、例えば料理の世界とかは女の人も少ないから

また描き方は違ってくると思うが、でも大体、主人公はひたむきで

厳しい先輩料理人は主人公が難関をクリアー後、「よくやったな」ぐらいのこと

言って優しく微笑むって言うのは何となく想像の域を超えない。

ある程度どのジャンルの漫画も確立された手法と言うのはあるからね。

そこをどれだけ裏切れるかなんだろうけど、編集さんとの相性もあるし

難しいところだ。


まあ、私の答えとしては、男性作家も女性作家も描ける人は描ける。だと思う。

でもそういう人は人物観察をすごくしていて、いろいろリサーチし

狭い了見で物事を見ていない人だと感じている。

やっぱり想像だけじゃ描けない事って多いんだ。




ところで昨日から目がかゆい・・・とうとう来たか・・・