DSC_0255

ムラサキセンダイハギが届いた。

手前の二鉢。今の季節紫色の可愛い花をつける。

今年は無理だが、来年が楽しみ。

秋にかけて花壇を手入れしたいのだが、とても時間がない。


ところでセンダイハギと言うと人形浄瑠璃や歌舞伎の

「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」を思い浮かべる。

江戸時代、伊達家で起きたお家騒動を題材に作られた義太夫だが

この作品もいろいろ面白い。

有名なのは『御殿の場』

逆臣から狙われる幼君・千松を乳母である政岡とその子供・鶴千代は忠義を

尽くし命を守る。

幼君の代わりに毒団子を口にする鶴千代。

苦しみながら死んでいく我が子を抱きしめ政岡は

「でかしゃった、でかしゃった(でかした、でかした)」と

褒め称えながら嘆き悲しむ。

主君に対して忠義を尽くすって日本独特の表現で決して

外国人には理解されない表現だろうし

今だったら間違いなく児童虐待で訴えられる。


政岡に敵対する悪役の八汐(やしお)は女形だが、本来、立役(男の役)の

役者が演じる。

他にも仁木弾正(にきだんじょう)と言う悪役が、花道のせり上がりから

煙に紛れながら出てくるところの演出も面白い。

額から血を流しているのだが、この流血も絶妙に流れるよう

こだわっているらしい。

あと、この煙とてもいい香りがするのだが、歌舞伎座の取材の際、この煙が

お茶の葉を燻していることがわかり目から鱗だった。



こうした作法を知っているのは、芝居を観に通う見巧者くらいだが

普通に観劇するだけでも十分楽しめる。

歌舞伎は敷居が高いと思われがちだが、昔から庶民の娯楽だった。

一度お試しを。