ムラサキセンダイハギが届いた。
手前の二鉢。今の季節紫色の可愛い花をつける。
今年は無理だが、来年が楽しみ。
秋にかけて花壇を手入れしたいのだが、とても時間がない。
ところでセンダイハギと言うと人形浄瑠璃や歌舞伎の
「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」を思い浮かべる。
江戸時代、伊達家で起きたお家騒動を題材に作られた義太夫だが
この作品もいろいろ面白い。
有名なのは『御殿の場』
逆臣から狙われる幼君・千松を乳母である政岡とその子供・鶴千代は忠義を
尽くし命を守る。
幼君の代わりに毒団子を口にする鶴千代。
苦しみながら死んでいく我が子を抱きしめ政岡は
「でかしゃった、でかしゃった(でかした、でかした)」と
褒め称えながら嘆き悲しむ。
主君に対して忠義を尽くすって日本独特の表現で決して
外国人には理解されない表現だろうし
今だったら間違いなく児童虐待で訴えられる。
政岡に敵対する悪役の八汐(やしお)は女形だが、本来、立役(男の役)の
役者が演じる。
他にも仁木弾正(にきだんじょう)と言う悪役が、花道のせり上がりから
煙に紛れながら出てくるところの演出も面白い。
額から血を流しているのだが、この流血も絶妙に流れるよう
こだわっているらしい。
あと、この煙とてもいい香りがするのだが、歌舞伎座の取材の際、この煙が
お茶の葉を燻していることがわかり目から鱗だった。
こうした作法を知っているのは、芝居を観に通う見巧者くらいだが
普通に観劇するだけでも十分楽しめる。
歌舞伎は敷居が高いと思われがちだが、昔から庶民の娯楽だった。
一度お試しを。